いつか

 ×LIVE×のオムニバス的なものを。


 村を出た。


 …強くなるために
 守りたい人を、守れるように


 いつだったかの、夕暮れ時
 村のはずれから足引きずって
 泣き笑いしているあいつを見つけた


 「ころんじゃった」


 照れくさそうにいう、あいつは
 明らかに転んだだけじゃ付かないような傷を
 無数につくって
 それでも懸命に笑っていた


 嘘だ。


 おつかいに、この村を離れたあいつは
 おつかい先かその道中で
 あいつの噂を聞いた奴にやられたんだろう


 あいつのことを知らない奴はこの地域にはいなかった


 安心していられるのは
 この村ぐらいなものなのに


 過去
 あいつの過去
 俺は知っているけれど、それがなんだというのだろう
 あいつのせいじゃない
 あいつが悪いわけじゃない
 それ以前にあいつはもう十分なくらい自分を責めているというのに


 俺は村を出た


 理不尽な行為からあいつを守るため
 あいつの盾になるため
 あいつを打つ拳や足や言葉を代わりにうけて
 つかの間の笑顔を守るため


 「ショウ!」


 傷つきながらも笑ったあいつの笑顔を
 これからもずっと…忘れはしないだろう


 その為に俺は


 強くなる。