夢、ゆらゆらと…


 空に滲む黒い羽根
 ひらりひらり
 一つが二つになりながら小さな黒い羽根は
 空から地上へ


 舞い落ちる


 私が見上げる空
 真夜中なのか真っ暗で
 ただただ黒いベールが空を覆い隠したような
 私はそれを『全ての始まる前の空』と思った



 そして
 誰か傍にいる気がした


 そのうち
 ひらりひらりと何かが目の前に迫ってきた
 何よりも繊細な黒いすじをもつ蝶
 …その片羽根
 黒いすじの間にまあるい月
 そして薄紫色の雲


 空間をそのまま区切ったかのように


 私はそれを『美しい』と思った
 そして誰かに伝えたかった






 目覚めればいつもの部屋



 伝えたい想いは胸の奥


 朝がやってきた。