もう少しだけ

 短篇話。
 今回は単発ものです。
 いつか短編小説に書いてみたいな、という原案かな。 


 私にもう少しだけ勇気があったなら


 私はあなたに電話、できるのに



 電話して

 『久しぶりだね、元気してた?』

 から始まって

 『…会ってもらえないかな?』

 なんて締めくくる。


 そしたらあなたは

 『元気だったよ、懐かしいね』

 なんて笑って

 『会おうか』

 って言ってくれるの。



 普通に何の思惑もなく、待ち合わせして

 私はあなたより10分先に場所について

 時間をもてあますの


 私にもう少しだけ笑顔があったなら


 あなたがやってきた時に、
 とびっきりの笑顔を用意しておけるのに


 そうして自然に喫茶店にでもはいって

 向かいの席にすわって

 手元のコーヒーを両手で包むようにして持って



 時をまつの



 私にもう少しだけ素直さがあったなら


 『私ね、あなたのことがずっとずっと好きだったのよ』


 って伝えて


 微笑んだり出来るのかなぁ…?



 私にもう少しだけ勇気と笑顔と素直さがあれば…
 あなたに会える奇蹟が用意されていたりする?


 いいえ


 私にもう少しだけ勇気と笑顔と素直さがあれば。
 奇蹟なんていらない。
 私は私の力であなたに会えるのでしょう?


 それとも


 私にもう少し潔さがあれば…


 この想いを空に返してあげることができるのかな