あの頃と

 あの頃は、ただ不器用で。


 私は


 不器用だった


 はっきりと言えばそういうこと。


 あなたの声が聞きたいくせに
 あなたの傍にいたいくせに
 あなたの笑顔がみたいくせに
 あなたのことが好きなくせに


 あなたと話がしたいくせに


 臆病で
 どうしようもなく、
 不器用で


 ただ…


 もう3年も引きずってしまうということは
 あなたがそれほど好きだったことと同じなのに


 あなたの声を拾い集めて
 こぼれぬように
 あなたの姿を拾い集めて
 なくさぬように


 同じ場所で


 動こうともせず


 あなたの面影を


 追っているだけ。